八仙茶館日報

営業中!

雨が降ったら空気の動きが少ないので助かる

とは言え寒いのは寒い。

納屋住まいが長くなっても、風通しのよさには慣れない。
ストーブも効かず、モンベルの#3の寝袋がなければ随分前に凍っていたことと思う。
ちなみに#3は快適温度0℃~使用可能温度-10℃のわりとタフな奴。

はじめは風をどうにかしたいと思って、どうしたらいいですかね、と建築家の友人に聴きに行ったことがあった。そのとき自然派志向の彼らは藁を詰めたらいいんじゃないの?と言ってて困った。
藁ではどうにも止まらんでしょう、と思ってそれを伝えたけど、実際のところ、何回目の冬だこれは、厳しい冬の寒さに負けそうになって、私は彼らの意見を聴いていたらよかったと思い始めている。

負けそうだ、負けそうだ。

と私の寒さに縮んだ身体が言う。

耐えるんだ、耐えたら勝ちだ。

と反射的に思って、いや、そうなのか?

と私は振り返った、この長い納屋生活を。

ここに住んで、私はどんな価値を世界のために、あるいは自分のために、産みだしただろうか。
しばらくのあいだの仮住まいとして、そしてそのあいだもせめて何かを産みだそうとして、私はここに住み始めたのではなかったか。

それなのにいつの間にかここに埋没して、初めの気持ちを忘れて、日々の怠惰に流れているのではないか。

そしていつの間にか、仮暮らしと自分で正当化して、この寒さに耐えることを目的としているのではないか。

雨の音の中、明るくなってきた窓を見ながら座っていた。
そしてこの冗談気味に発した自問が、寒さとともに心身に堪えた。
しばらくのあいだそのまま風に身を晒していた。

耐えることは目的ではない、負けたらいい、負けて、そうしていろいろ詰めたらいい。

そんなことを思って、なんかやれそうな気がしてきたので、とりあえず藁を探そうと思います。
あともっとあったかい腹巻きを買おうと思います。